小さな花束(ファンロン共和国?)



「くそっ、撤退するぞ!陣形が維持できない!」
ドレイクが撤退の指示を僚艦に伝えた。
じりじりと後退していたその時、強い衝撃が艦を襲った。
指揮官席から転げ落ちたドレイクが声を張り上げた。
「どうした!どこに食らった!!」
「右舷側方に被弾!」
「ちいっ、安全な宙域まで退避!その間に被害を確認しろ!」
「了解!」
オペレータの返答を待たずに、彼は副官のもとへ駆け寄った。
当の副官はどうやら頭をぶつけたらしく、頭を抱えてのた打ち回っている。
だが、見たところ大きな怪我はしていないようだった。
「…おい、大丈夫か?」
相当痛かったのか、声も出さず涙目になりながらツキナリは頷いた。
「…そんなに激しくぶつけたのか?」
ドレイクの問いにもう一度頷く。やはり相当痛いらしい。
「この艦は戦場から離脱した。部屋に戻っても…」
「大丈夫ですか、提督!!」
ドレイクの声を遮って、背後からシアリーの声が飛び込んできた。
よほど心配だったのか、普段の間延びした雰囲気は微塵も感じられない口調だった。
「俺は大丈夫…」
その声で振り返ったドレイクは、彼女が脇腹から血を流していることに気付いた。
「お、お前!その怪我…!」
「良かった…大丈夫みたい…ですね…」
ドレイクの無事を確認して安心したのか、シアリーはそんな言葉を発しながら、気を失ってその場に倒れてしまった。
慌てて彼女のもとに駆け寄り、傷の様子を診ながらドレイクはつぶやいた。
「まったく…、他人の心配をするような状態じゃないぞ、この傷は…」
彼女の脇腹には深い傷が穿たれていた。常人ならば、激痛により即座に失神しても不思議では無かっただろう。
惑星に帰還すると、シアリーは直ちに軍病院に搬送された。

シアリーが意識を取り戻したのは、3日後のことであった。
個室のベッドに横たわり、ぼんやりと天井を眺めている。
(……ここはどこなんだろう……)
起き上がろうとしたが、脇腹に走る激痛に耐えられず、また天井を眺める。
(……そうか…わたし…あのとき……)
仰向けになったまま、負傷したときの状況を思い出す。
(…確か…艦が激しく揺れて…そのあと…)
コン、コン、と、ドアをノックする音が彼女の思考を遮った。
「どちら様でしょうか?」
「ドレイクだ。お前に渡すものがある。入ってもいいか?」
「は、はい。どうぞ」
シアリーがそう言うと、茶封筒と小さな花束を持ったドレイクが部屋に入ってきた。
彼は花束を窓際に置いて、茶封筒の中身を取り出しながら言った。
「お前、怪我は大丈夫か?」
「ん〜、痛くて起き上がれないんですけど、たぶん大丈夫ですよ〜」
「…さっき医者に聞いたら軍務に復帰するまで2か月以上必要だと言われたぞ」
「ふえ〜、すみません〜」
「別に謝る必要は無い。あと、お前に辞令が届いてるぞ」
「わたしに、ですか?」
「ああ。本日付で准将に昇進だ。それと、今回の負傷によって生じる治療費は全額控除されるそうだ」
そう言いながら、ドレイクは封筒に入っていた書類を枕元に置いた。
「…すみません、わざわざこんなことまでやってもらって…」
「俺から見れば一応上官だからな。見舞うのは当然のことだろう」
「でも…」
「…お前の軍服姿、良く似合ってたって、ツキナリが言ってたぞ」
「せっかくの軍服に大穴が開いちゃいましたけど…」
「また支給される。まさか准将にもなってアレを着て仕事をする訳にもいかないだろう?」
「ふえ〜、ダメですか〜?」
「…ダメとは言わんが、軍人をやってるならそれくらいは考えてくれないか?」
「んむ〜」
仰向けの少女は、少し不満げな声を上げた。
「何だ?何か不都合でもあるのか?」
「…ところで、その花束は誰にあげるつもりですか?」
ドレイクの質問を無視して、シアリーは窓際の花束に視線を移して言った。
「これか?一応、お前にと思って持ってきたんだが…」
ドレイクは、花束を彼女のベッドのそばに動かして言った。
「…わたしに、ですか?」
「ああ。見舞いに行くのに手ぶらという訳にもいかんだろう」
「ほんとに、わたしに、ですか?」
「嘘をついてどうする。それとも気に入らなかったか?」
「そんなことはないですよ〜。わたしなんかがもらっていいのかな〜って」
「…じゃあ、俺はそろそろ失礼する。お大事に」
そう言って、ドレイクは部屋を後にした。
(…何で赤くなってたのかな…)
そんなことを考えながら、少女は花束に目を移す。ふと、花束の中に封筒が入れてあることに気が付いた。
少女は封筒を開け、入っていた便箋に目を通した。

部屋を出て行くとき、ドレイクが顔を赤らめていた理由が、彼女にははっきりと分かった。

Fin.


あとがき

もうだめだ(笑)。
すでに日本語がおかしい。とってもおかしい。
末期かも知れん。色んな意味で。
…ということで、6作目を何とか(締め切りまであと45時間で)上げました。
もう脳みそが解けきってるので、しばらくはSS書かないかもしれないです。
…とか言ってまたしばらくしたら「次の作品が〜」なんて言うかも。
でも、期待すると後悔するので期待はしないで、ね。

2005/12/30 のー天気

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